flyfry発音の違い ── /l/ vs /r/
flyとfryの聞き分けと発音の混同は、日本語のラ行音の性質に起因します。日本語のラ行は舌先を歯茎に軽く弾く音ですが、英語の/l/は舌先を歯茎に密着させて側面から息を逃がす音であり、/r/は舌先をどこにも触れさせず、口腔内で舌を丸めて奥に引く音です。日本人の多くは、この二つの全く異なる物理的動作を、慣れ親しんだ「ラ行」という一つのカテゴリーに押し込めてしまいます。その結果、舌を歯茎に当てるべき/l/で舌が浮き、舌を浮かせるべき/r/で舌が歯茎に触れてしまうという逆転現象が起こります。この物理的な動きの差を意識的に分離し、舌の筋肉の動きを再構築しない限り、聞き取りにおいても脳が音の境界線を引くことができず、文脈に頼った推測に終始することになります。
飛ぶ、飛行機で行く
舌先を上の歯茎の付け根にしっかりと押し当てて弾く。
油で揚げる、炒める
舌先をどこにも触れさせず、舌全体を奥に引いてこもらせる。
01飛ぶ、飛行機で行く
I want to fly to Paris this summer.
── この夏、パリへ飛びたい。
02ハエ、飛行
There is a fly on the window pane.
── 窓ガラスにハエが止まっている。
油で揚げる、炒める
Fry the onions until they are golden.
── 玉ねぎがきつね色になるまで炒めて。
01 ── 語末の /l/ が脱落してしまう
日本語は語末が母音で終わる言語であるため、子音だけで音を完結させる習慣がありません。特にflyのような語末の/l/では、舌先を歯茎に押し当てて音を止める動作が省略されやすく、単なる母音の伸ばしのように聞こえてしまいます。改善には、舌先を歯茎に固定したまま一瞬だけ音を止める「ダークL」の感覚を養う必要があります。舌を離す前に音を終わらせる意識を持つことで、/l/特有の響きが加わり、fryとの明確な違いが生まれます。
02 ── /r/ を日本語のラ行で代用してしまう
日本語のラ行は舌先が歯茎を弾く音ですが、英語の/r/で同じことをすると、それは/l/に近い音として認識されます。英語の/r/において最も重要なのは、舌先をどこにも触れさせないことです。舌全体を奥に引き、喉の奥を少し狭めるような感覚で音を出す必要があります。舌先が歯茎に触れた瞬間にそれは/l/の領域へと侵入してしまうため、鏡を見て舌先が浮いていることを確認しながら、こもった響きを作る練習を繰り返すことが不可欠です。
03 ── 摩擦音 /f/ の強さが不足する
flyやfryの語頭にある/f/は、上の前歯で下唇を軽く噛み、その隙間から息を漏らす摩擦音です。日本人はこの摩擦を弱く発音しがちで、結果として/h/に近い音に聞こえてしまいます。/f/の音は、息の通り道を意図的に狭くすることで生まれる鋭いノイズです。唇の形だけでなく、息の圧力を一定に保つことで、続く/l/や/r/の音とのコントラストが際立ちます。摩擦を十分に効かせることで、単語の輪郭がはっきりし、聞き手にとっても判別が容易になります。
片方を出して、もう片方を出す。
二つを交互に発音すると、違いが体に入ってきます。
どちらの単語でも、それぞれの音を意識して発音してみてください。
舌先を上の歯茎の付け根にしっかりと押し当てて弾く。
舌先をどこにも触れさせず、舌全体を奥に引いてこもらせる。
この対は、この章で扱います
第12章「舌の三大関門 ― L、R、TH の2種類」
読了 約25分
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