thatの発音 ── /ðæt/ を、日本人の口で出すために。
thatは日常会話で最も頻繁に使われる単語の一つですが、日本人が正確に発音することは意外なほど困難です。多くの学習者は、この単語を「ザット」と3モーラで捉えてしまい、日本語のカタカナ発音に引きずられます。しかし、本来は1音節の単語であり、母音/æ/の鋭い広がりと、子音/ð/の摩擦音を同時に制御しなければなりません。特に/æ/を単なる「エ」や「ア」で代用すると、betやbutとの区別がつかなくなります。この単語を正しく発音する核心は、口を横に大きく開き、舌先を前歯の裏に軽く当てて声を出し続けることにあります。この基本的な音の構築を疎かにすると、英語全体が平坦で不明瞭な響きになってしまいます。
01あの, その, 例の
I really like that new restaurant.
── あの新しいレストランがとても気に入っています。
Can you pass me that file over there?
── あそこにあるそのファイルを渡してくれますか?
02あれ, それ
What is that supposed to mean?
── それはどういう意味ですか?
That is exactly what I was thinking.
── それこそがまさに私が考えていたことです。
03〜ということ
I believe that we can finish this on time.
── 私たちはこれを時間通りに終えられると信じています。
- IPA
- /ðæt/
- 音節数
- 1
- 強勢の位置
- 第1音節
thatの語頭にある/ð/は、舌先を前歯の裏に当てて声を出し続ける摩擦音です。日本人はこの音を日本語にないものとして処理するため、無意識に/z/や/d/といった近い音に置き換えてしまいます。特に/d/で代用すると、音が破裂してしまい、that特有の滑らかな響きが失われます。改善するには、舌を前歯の裏にしっかり固定し、息を吐きながら声を出す感覚を養う必要があります。/z/のように歯茎に密着させるのではなく、隙間から空気が漏れるような感覚を意識してください。
02 ── /æ/の母音を曖昧な「エ」で発音してしまう
thatに含まれる/æ/は、口を横に大きく開き、顎を下げて発音する「広い母音」です。日本人はこれを日本語の「エ」に近い音で発音しがちですが、これではbatやbetの区別がつきません。口の開きが不十分だと、音がこもり、英語らしい明瞭さが消えてしまいます。改善のポイントは、指が二本入るくらいまで縦に顎を下げつつ、横に強く引くことです。この「横に開いたエア」の形を維持したまま、一気に/æ/の音を出す練習を繰り返すことで、単語全体の輪郭がはっきりとし、ネイティブの響きに近づきます。
03 ── 1音節の単語を複数のモーラに引き伸ばしてしまう
thatは1音節の単語ですが、日本人は「ザ・ッ・ト」のように3モーラで発音する傾向があります。これは母音の後に続く/t/の破裂音を、日本語の「ト」という母音を伴う音として認識しているためです。語末の/t/は、舌先を歯茎に当てて息を止めるだけで、母音を伴わない「無声破裂音」として処理するのが正解です。この「ト」という音を削ぎ落とすことで、英語特有のリズム感が生まれます。語末で息を止める感覚を身につけることが、単語の長さを適切に保ち、流暢な発音を実現するための鍵となります。
読むだけでは、口の地図は動きません。
下のマイクを押して、「that」を一度、声に出してみてください。
この単語を、マイクに向かって発音してみてください。
発音すると、この場で認識結果・スコア・録音履歴・前回比が表示されます。
同じ音を含む語
- this
- the
- than
- those
この音は、この章で扱います
第9章「広い母音 ― bat、bet、but の三角関係」
読了 約22分
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