herの発音 ── /hɜːr/ を、日本人の口で出すために。
herは、日本人にとって最も身近でありながら、最も発音の誤解を招きやすい単語の一つです。多くの学習者は、この語を日本語の「ハー」と同一視し、平坦な音で発音してしまいます。しかし、本来の音は/ɜːr/という、舌全体を奥に引き込み、喉の奥をこもらせる独特の母音を含んでいます。この「こもったアー」の感覚が欠如しているため、単なる平らな音として処理され、英語らしい響きが失われてしまいます。さらに、1音節の短い単語であるにもかかわらず、日本語的な「ヘ・ア」のように2モーラに膨らませて発音する傾向も強く見られます。この単語を正しく発音する核心は、舌をリラックスさせつつ奥に引き、喉の奥で音を響かせる/ɜːr/の感覚を身体に定着させることにあります。
01彼女を、彼女に
I saw her at the station yesterday.
── 昨日、駅で彼女を見かけました。
Please give her the report by noon.
── 正午までに彼女にレポートを渡してください。
02彼女の
She left her umbrella in the office.
── 彼女はオフィスに傘を忘れていきました。
Her presentation was very impressive.
── 彼女のプレゼンテーションはとても印象的でした。
- IPA
- /hɜːr/
- 音節数
- 1
- 強勢の位置
- 第1音節
01 ── 平らな「アー」で代用してしまう
日本人は/ɜːr/の音を、日本語の「ア」に近い平坦な音として解釈する傾向があります。日本語には舌を奥に引き込んでこもらせる母音が存在しないため、無意識のうちに口先だけで発音しようとしてしまうのです。これを改善するには、舌の先をどこにも触れさせず、舌全体を喉の奥へ引き下げる意識を持つことが重要です。鏡を見て、口を大きく開けすぎず、喉の奥から響くような「アー」を出す練習を繰り返してください。この音はbirdやworkにも共通する重要な音であり、ここをマスターすることで英語全体の質が向上します。
02 ── 1音節の語を2モーラに膨らませる
英語のherは1音節の単語ですが、日本人はこれを「ヘ・ア」のように2つの音に分けて発音しがちです。これは日本語の拍の感覚が干渉しているためです。英語では/h/の息の音から/ɜːr/の母音へと、途切れることなく一気に滑り込ませる必要があります。特に/r/の音を意識するあまり、/ɜː/と/r/を別々の音として切り離して発音してしまうと、リズムが崩れます。一息で「ハー」と短く発音し、最後の/r/の音を母音の中に溶け込ませるような感覚で発音することで、自然な英語のリズムに近づけることができます。
03 ── 喉の奥の緊張が抜けてしまう
herを発音する際、喉の奥がリラックスしすぎているか、あるいは逆に力みすぎているケースが多く見られます。/ɜːr/の音は、舌を奥に引く際に適度な緊張が必要です。喉の奥が緩んでいると、音は平坦でぼやけたものになり、英語特有の深みが失われます。改善のヒントとして、うがいをする時のように喉の奥を少しだけ狭める感覚を意識してみてください。その状態で舌を奥に引くと、自然とこもった響きが生まれます。この感覚を掴むことで、herという短い単語の中に、英語らしい重厚な響きを込めることが可能になります。
読むだけでは、口の地図は動きません。
下のマイクを押して、「her」を一度、声に出してみてください。
この単語を、マイクに向かって発音してみてください。
発音すると、この場で認識結果・スコア・録音履歴・前回比が表示されます。
関連する音
同じ音を含む語
- herd
- hers
- fur
- stir
この音は、この章で扱います
第10章「隠れた母音 ― about の “ə”、bird の “ɜː”」
読了 約18分
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